
下にー、下に。これは西国のお殿様の御一行か。いよいよ天下の剣、箱根越えとみえる。「もっと下がれ、頭を垂れよ。」そんな声が聞こえてきそうな。豆粒ほどの人形が並ぶ、並ぶ。いや、豆ではなく梅干しの種だ。それを細工して、人や馬、家並みまで再現している。スゴイぞ、これは。いったい誰が作ったのか。知りたい。会って話を聴きたい。向かったその先は、小田原駅前、地下街の一角。梅干しを商う『福梅』の中にその人はいた。
作品の成立は超絶技巧があればこそ。魅力があっても簡単には作れない、手も出せない。老練の技人たちが持つ悩みがここにもあります。が、しかし、その存在があまり知られることが無かったのも事実。どうですか、実物を御覧になってみては。写真じゃわかりませんよ。その細やかな巧みの技は。