猫は画家と鑑賞者の想いの投影
■10匹と2頭は何を語るのか。猫をモチーフにした作品は多い。なぜ作家はここに猫を描きたかったのか。猫かネコか、猫は動物をイメージし、ネコと書くと含意が生まれる(分類学ではネコというらしいが)。ネコを描くことによって、模糊とした作家の感情を明らかにしないまま集約することができるのかもしれない。いっぽう、鑑賞者にとって、ネコの存在より曖昧に抱いていた感情が研ぎ澄まされるのか。しかしながら、必ずしも作家と鑑賞者の間の共感があるとは言えないだろう。それぞれの異なる思いを“両側から“ネコに投影しているだけだ。ネコにとっても負担の多いことだ。キャンバスに描かれたネコたちは、それぞれ主役であったり脇役であったりする。しかし、絵の上で脇役であっても、作品としては主役を演じている。なお、このレポートはレポーターの感じたところであって、作家の制作意図を正しく捉えているわけではないことをお断りしておく。