先日、小田原市に駐日モルディブ共和国大使館から臨時代理大使のシャフラズ・ラシードさんがお越しになられました。ご来訪の趣旨としては、小田原市とモルディブの間で、環境などをテーマにした交流を進めていきたいとのご提案でした。
私の前の任期中、当時のモルディブ大統領が日本に初来日するにあたり、東京近郊の都市を訪ね日本のまちや文化に触れたいとの依頼が外務省にあり、小田原に白羽の矢が立ちました。結局、大統領の日程調整ができず来訪は叶わなかったのですが、そのお詫びにと当時の日本大使が市長室にお越しいただいたことがキッカケとなり、小田原とモルディブの交流が始まりました。東京五輪の際には、モルディブ代表の選手の準備合宿などの受け入れを行い、前後して大統領の小田原訪問も実現、水産分野や環境分野での交流を進めていこうとの話まで進んでいました。今回のご来訪は、2025年が独立60周年でもあり、これまでのご提案を少し踏み込んで前に進めたいとのご意向でした。
モルディブが直面する最大かつ喫緊の課題は、海水面の上昇に伴う国土水没の危機です。1,200ほどの島々からなる国土の平均標高は、わずか1.5m。ここ数年だけを見ても、陸地が減少し、頂いた資料からは、かつて海浜の近くにあったわずかな森林も姿を消しています。地球温暖化の影響が、国の存亡、住民の生きる場の喪失という形で表れている、その最前線にモルディブはあります。私たち日本人が、意識はしていても切実な実感を持てていない気候変動を、モルディブとの交流から我がこととして感じることができるのではないかと考えています。明日、三の丸ホールにて行われる国際シンポジウムにて、ラシードさんも登壇され、私もパネリストとして参加します。
