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2015年07月03日(金)

歌舞伎プレセミナー

9月1日(火)に、小田原では16年ぶりとなる「松竹大歌舞伎」が上演される予定です。歌舞伎公演を2か月後に控えて、6月28日に元NHKアナウンサーの葛西聖司氏による「歌舞伎プレセミナー」が、小田原市民会館小ホールで開催されました。受付開始前からドアの前に行列ができて、小田原で久しぶりに行われる歌舞伎公演への期待と葛西さんの人気振りを感じました。

■歌舞伎プレセミナー■
2時開演時には、用意した席は満席となりました。会場の椅子の配置は、ちょっと変わっていました。部屋の中央を通路にして、その両側に座席が向い合せなるように椅子が並べられていました。これは葛西さんの要望で、舞台の上から一方的な話をするのではなく、葛西さんが通路を往ったり来たりして話をするためです。その効果の素晴らしさは、セミナーが始まると直ぐに分かりました。葛西さんは、通路を動き回りながら話し続けます。葛西さんとの距離が近く、自分の真ん前でまるで自分一人のために話をしてくれているような気持ちになって、自然に話に集中してしまいました。

 

通路を行き来して語り掛ける葛西さん通路を行き来して語り掛ける葛西さん

■歌舞伎「引窓」■
歌舞伎を観ても、「台詞が分かない」という理由で、つまらなく思ったり眠くなったりしてしまいます。葛西さんは、そのような観客の心情をよく理解していて、「引窓」を観るポイントを分かり易く解説してくれました。八月十五日は、石清水八幡宮から始まった「放生会」(ほうじょうえ)が行われ、魚などの小さな生き物を池へ放すことで日頃の殺生を戒め、命を慈しむ日です。物語が八月十四日の放生会の前日であることに重要な意味があることや、引窓とは屋根にある天窓のことで、紐を引くと閉まって部屋が暗くなり、紐を放すと窓が開いて部屋が明るくなること、そしてその窓の開け閉めが、この物語の展開にドラマチックな影を落とすことになるのです。

 

白板で「引窓」の舞台と人物の解説をする白板で「引窓」の舞台と人物の解説をする

観客中へ入り込み語り掛ける葛西さん観客中へ入り込み語り掛ける葛西さん

設定された 日付や舞台道具の仕掛けが、物語の転換にとても重要な要素となっていることが理解できました。セミナー参加者は、配布資料の台詞を全員で声を合わせて読みました。自分で声を出して、それを自分の耳で聴くことによって、分かりにくい台詞を頭に入れることができます。更に、葛西さんは白板を使って、演目の背景事情や登場人物同士の関係についても説明されたので、登場人物が理解できました。

 

観客に笑顔で語り掛ける葛西さん観客に笑顔で語り掛ける葛西さん

葛西さんは会場を動き回り、座席の中にまで入り込んで、一人ひとりに語り掛けていました。その語り口は、さすが元アナウンサーで、あっという間に90分が過ぎてしまいました。講演終了時には、会場から大きな拍手が送られましたが、それは、充実したセミナーへの感謝の拍手であったように感じました。9月1日の歌舞伎公演を観ることが、とても楽しみとなったのは、このプレセミナーのお蔭であることは間違いないでしょう。

 

■小田原と歌舞伎■
小田原市民会館大ホールは、昭和37年(1962年)8月1日に開館しました。当時の鈴木十郎市長は元歌舞伎座支配人の経歴の持ち主で、そのご縁でこけら落しは菊五郎劇団の歌舞伎公演だったそうです。それから、市民会館では毎年歌舞伎が公演されて来ました。その伝統が16年の間途絶えていましたが、今回復活することになったのです。
また、歌舞伎の市川家の十八番である「外郎売」(ういろううり)は、小田原の老舗「ういろう」から題材が取られています。「ういろう博物館」には、市川団十郎が着た衣装が展示されています。「外郎売の口上」の長い口上は、新人アナウンサーの滑舌訓練に必須なのだそうです。毎年夏に、「外郎売の口上大会」が開催されて、子どもからお年寄りまで日頃の練習の成果を競い合っています。更に、小田原には江戸時代に「小田原桐座」という芝居小屋があったそうです。一座の名前が「小田原桐座」で、寛文年間に江戸の木挽町の舞台で女歌舞伎を興行して大当たりしたそうです。桐座は明治の初めに廃座となってしまいましたが、街の有力者が資金を出して再興し、明治42年(1909年)に廃業するまで興行されていたそうです。
このように、小田原には歌舞伎の長い歴史が重ねられて来ています。葛西さんのセミナーをきっかけに、9月1日の松竹大歌舞伎にたくさんの方々が観劇に来られて、小田原に再び歌舞伎の熱気が蘇えって欲しいものだと思いました。
(深野 彰 記)

2015/07/03 13:51 | 芸術


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