酒匂川水系のメダカについて

小田原市では、絶滅危惧種である「酒匂川水系のメダカ」を、万が一、生息地や他の飼育地に何かあった場合の危険分散として保護飼育をしていますが、それらのメダカを環境啓発活動における生きた教材として環境保護意識の啓発を図るとともに、より多くの人の手で増やすことで種としての絶滅を回避するために「メダカのお父さんお母さん制度」を20年以上前から実施しています。
これまでに、酒匂川流域にお住いの皆様や企業の方など延べ2,100名を超える方々に飼育してもらい、メダカが増えたら市に提供してもらって、少しずつ飼育の輪を広げています。
しかしながらその一方で「他のメダカに比べて飼育が難しい」、「せっかく分けてもらったのに全滅してしまった」、「こうした場合はどうしたら良いのか」というお声も寄せられます。
そこで「メダカのお父さんお母さん」をサポートするために、これまでに寄せられた意見や質問に、繁殖に成功している先輩お父さんお母さんから寄せられたノウハウや市の飼育方法も交えて御紹介します。
ひとつでも多くの命を繋いでいただき、市へ提供してもらえる日をお待ちしています。

メダカのお父さんお母さんの募集

現在、新規募集はしておりません。
・これまで紙ベースで郵送していた飼育状況調査を、インターネットでも回答できるようにしました。
・どちらでもお好きな方で調査に御協力ください。
・未回答の方は、上の「飼育状況調査入力フォーム」から御回答ください。
(今年度回答済みの方は対応不要です)

酒匂川水系のメダカ飼育方法(動画)

100円ショップの材料で作れるメダカ用産卵床の作り方

メダカの卵、有精卵と無精卵の見分け方

寄せられた質問と回答

Q&A

区分 質問 回答
飼育方法 冬を越せないのか、春には激減してしまいます。 「ミナミメダカ」ですので冬の寒さは苦手です。氷が張る場所での飼育は避け、なるべく大きくて水深のある容器を使用し日当たりの良い場所に置きましょう。
越冬飼育に成功されている方は、屋外で飼育の場合「冬は室内飼育に切り替える」、「赤玉土を入れる」、「断熱材をかぶせる」といった寒さ対策をされている方が多くいらっしゃいます。
飼育方法 絶滅危惧種なので大事に育てていたが何故か死んでしまった。 メダカは、環境の変化に弱い魚です。水を頻繁に替えたり、餌を多量にあげたりすると食べ残しにより水質が悪化してしまい死んでしまいます。
また、魚には満腹中枢がないと言われており、どんなにエサを与えても与えた分だけ食べてしまうため、食べ過ぎてお腹を壊して死んでしまいます。エサやりは「1日1~2回」で十分です。
終生飼養の観点から、最期まで可愛がっていただければと存じますが、過保護には御注意ください。
飼育方法 水の切り替え頻度はどの程度が良いのだろうか。 室内と屋外飼育のどちらか、エアレーションや、ろ過装置の有無などの飼育環境によって変わります。
冬以外であれば、室内飼育の場合は「月に2回、水半分」を、屋外飼育の場合は「二週間に1回、水3分の1」を目安に替えてみてください。冬場は「汚れたら」程度で十分です、冬場の水は替えるよりも足して水深を保つことを心がけてください。
市では大量に飼育しているので、すぐに水が汚れます。ほぼ毎日フンを吸い上げて水をきれいに保っていますが、それでも夏場は二週間に一度、水を全て入れ替えています。冬場は活性が低くなるのでほとんど替えていません。
飼育方法 適正な水温はどの程度なのだろうか。 約15度~30度と言われています。20度を超えると活発に動き始め、産卵を始めます。体感ではありますが23度~28度程度が一番活発に動き回っています。
夏場、屋外飼育をしていると急激に水温が上がりますが、40度くらいでも生息は可能です。ただし、そこまで上がらないよう、すだれやヨシズで日陰を作ってください。
飼育方法 屋外で飼育していると水が緑色になってきてしまいます。 屋外におくと植物性プランクトンが増えるために緑色(通称:グリーンウォーター)になりますが、メダカのエサになるので問題ありません。
ただし、藻が大量に発生しているようであれば除去してください。
グリーンウォーターを作りたい場合は、水道水をバケツやタライなどの空気が触れるような容器に入れて、1~2週間ほど屋外で放置します。うっすらと緑色になれば使用できます。
飼育方法 卵から稚魚までは上手くいきますが、どうしても稚魚が死んでしまい成長しません。なぜでしょうか。 稚魚の死因の最たるものは「親による捕食」、次が「餓死」です。
卵を確認したら、まずは親による捕食を避けるため、別の水槽に移すか卵・稚魚専用のケースに入れて、親と離して育成する環境を整えます。その際、日光にしっかり当てるようにしてください。
次に、孵化したら市販されているメダカ稚魚用のエサをごく少量、一日3~5回程度与えます。その際、食べ残しによる水質悪化に注意します。
なお、孵化して3日目までは親からもらった栄養があるのでエサやりは不要です。
以上のことを考えると、稚魚は植物性プランクトンが豊富なグリーンウォーター(すぐ上の回答欄参照)での飼育をお勧めします。グリーンウォーターに替えて市販のミドリムシを使用される方もいらっしゃいます。
飼育方法 屋外に一日程度水を汲み置いて塩素抜きしているが大変だ。雨水を溜めておいて使っても良いのだろうか。 市販の「塩素中和剤」を使用すると、比較的短時間で飼育に適した水ができます。
液体タイプと錠剤タイプがありますが、どちらでも構いません。
溜めておいた雨水は保管場所や季節によってかなり水質が変わると思いますので、基本的には水道水が無難です。
市では、水質を一定に保ちたいため、市販の塩素中和剤を使用した水道水で飼育しています。
飼育方法 エサは市販の物で良いだろうか。光合成細菌やボウフラを与えてみようかと思うが。 市販のエサで問題ありません。稚魚なら稚魚用の物も販売されています。
メダカの食性としてプランクトンやボウフラが挙げられますが、田んぼや側溝に生息するボウフラは薬剤が使用されている可能性があるので与えずに、汲み置いたバケツ等に自然発生したボウフラを与えるようにしてください。
光合成細菌を与えると背びれや尾びれが赤くなってしまいます。他のメダカとの交配が疑われる結果になってしまうため、市では与えておりません。
飼育方法 水草の種類は何が良いだろうか。 屋外であれば、オオカナダモやホテイアオイ、マツモをお勧めします。ただし、外来生物なので、屋外に放棄しないようにしてください(マツモは在来生物ですが遺伝的かく乱防止の観点からこちらも屋外への放棄はしないでください)。
市販されているものは他の生物(スネイルや他のメダカの卵、ヒル)が付着している場合があるので、2~3週間程度は別の水槽で様子を見てから水槽に入れてください。
市では、他の生物の侵入を防除するため水草は使用せず、100円ショップで販売している物を組み合わせ産卵床を自作しています。
混泳 どんな生物が同じ水槽で飼えますか。 メダカは他の生物との混泳は可能ですが、混泳させることにより、外部からの病原菌や寄生虫が持ち込まれる可能性がありますので、メダカのみの単独飼育をお勧めしています。
飼育環境 奇形が生まれてしまいました。 奇形の原因は様々ですが、卵から孵化するまでの間に衝撃を受けた場合や、近親交配を繰り返した場合のほか、母親メダカの栄養不足などからも奇形のメダカが生まれやすくなります。
その際は市へ御相談ください。
飼育環境 増えすぎたので提供したい。/もう辞めようと思う。 種の保存に御尽力賜り、誠にありがとうございました。
回収の日程を調整したいので、市へ御連絡ください。
生態 底でじっとしていることが多いが、何か病気だろうか。/動きが鈍い。 冬場であれば通常の活動です。
そうでなければ、まずは観察しましょう。
一概には言えませんが、寿命が近いのかも知れませんし、何か調子が悪いのかも知れません。
体形はどうでしょうか。頭と比べて体が細ければ痩せている方だと判断できます。餌の量を減らして回数を増やすことで太らせるか、グリーンウォーターでの飼育をお勧めします。体に見たこともない白い斑点や血種ができていたら今の水槽から隔離して、太陽光に当てたりしながらとにかく水をきれいに保ちます。
ろ過装置を使っている場合はフィルターのメンテナンスを行ってください。
別の水槽に移し替えて0.5%の塩水浴を1週間程度させると改善する可能性もあります。
また、メダカは強い水流を好みません。エアレーションによる水流に常にさらされていないか確認してください。
生態 水槽内を上下に行ったり来たりする。/水面で口をパクパクしている。 元来、メダカは酸欠に強い魚と言われておりますので、これも一概には言えませんが、過密飼育か酸素不足の可能性が考えられます。
エアレーションを投入したり、水を入れ替えて水質をきれいに保つほか、水槽を分けるなどしてみてください。
飼育の密度としては「水槽の水量1リットル辺り1匹」が概ねの目安と言われていますが、正解はありません。
初めて飼育する方は、少ない尾数で、容量の大きな水槽で飼育する方が安定します。
もしかしたら、見られることでストレスを感じている可能性もあります。大きな石やモニュメント等、隠れられる場所を作ると良いかもしれません。
生態 卵からどのくらいの期間で孵化するのか。/生後、何か月くらいで抱卵するのか。 日照時間の長短や、水温、水質など飼育環境にもよりますが、概ね15~20日前後で孵化します。
また、約90日で抱卵を開始します。このとき、相性の良いオスがいれば有精卵になり繁殖が可能になります。
なお、無精卵は乳白色で、有精卵は黄色に見えます。
その他 この活動でメダカの数は増えているのだろうか。 皆様から毎年、年間数百匹の提供を受けるほか、市でも養殖しておりますので徐々に増えておりますが、配布を希望される方全員に配布できるほどの数は飼育できておりません。今後とも、鋭意努力して参ります。
是非、皆さまも、市へ年間100匹の提供を目標に育成していただければと存じます。
その他 たくさん増やしたら放流する予定でもあるのだろうか。そうすれば飼育する意味もあると思うが。 最近では、遺伝的な問題もあり、必ずしも放流することが生息地の保全に寄与するわけではありません。
この制度が始まった当初は、放流を見越して飼育を始めた経緯もあるようですが、20年以上を経過して、世間一般の放流に対する考え方も変わって参りました。
現在、市では放流することは考えておりませんし、皆様に飼育をお願いする際にも放流しないように誓約していただいております。
飼育する最大の目的は、市民の皆様への普及啓発と生息地に何かあった場合の危険分散飼育です。
多くの皆様の手を介在している結果、絶滅を逃れている希少なメダカですので、今後とも皆様とともに守り、増やして参りたいと考えています。
その他 近所で「飼育したい」という方がいるので分けても良いか。 メダカのお父さんお母さんに登録いただき、市から配布を受けるためには、次の4つの内容に誓約をしていただいたうえで配布しております。
1.最期まで育てる
2.放流しない
3.他のメダカと一緒に飼育しない
4.売ったり、譲渡したりしない
そのため、市から配布をしたメダカについては、その卵や子についても譲渡はしないでください。

メダカの保護・保全政策の概略

1996年(平成8年) 「身近な生き物調査」を実施
1997年(平成9年) 市民と行政で「市民メダカ調査団」を結成、市内の現況調査を実施、メダカが野生の状態で生息しているのを確認。自治会、学校関係者、環境関係団体などからなる「市民メダカ会議」を開催し、メダカの保護政策の検討を実施
1999年(平成11年)「メダカのお父さんお母さん制度」を開始
2001年(平成13年)「市の魚(淡水魚)」へ指定
2002年(平成14年)「メダカの保全に係る基本方針」を策定
2005年(平成17年)「水田ビオトープ、自然水路」の整備
2009年(平成21年)メダカの名称を「小田原メダカ」から「酒匂川水系のメダカ」に変更
2011年(平成23年)「メダカの保護区」を指定
2019年(令和元年)鬼柳・桑原工業団地の整備に伴い既存水路内のメダカを保護(神奈川県内水面試験場で飼育中)

この情報に関するお問い合わせ先

環境部:環境保護課 環境保護係

電話番号:0465-33-1481

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