歴史資料・紙本着彩小田原城絵図　文久図

紙本着彩小田原城絵図　文久図　1幅（市指定　昭和56年3月30日）

 【所有】　　小田原市

【所在】　　小田原城天守閣

【形状】　　紙本着色10色　181.5cm　Ｘ　223cm　軸装

【概説】　

　この絵図は、大久保氏の家臣の某家に伝えられたものですが、明治初年頃、竹村助次郎氏が購入し、その後、孫の二郎氏が市に寄贈されたもので、城下町図の最大級3点のうちの一つです。

　城下町図には、松原図や同系統の万治3年（1660）図がありますが、これらは城の縄張りだけで、建物などは描かれていません。

　次に現れたのが、図の精度をあげ建物などを描き入れた延宝3年（1675）図です。この系統のものが、国立公文書館図や元禄図などですが、嘉永図がこの系統図の最大最後で、しかも、建物の寸法まで記入された精密なものです。

　図の中には、嘉永3年（1850）以降に完成した３箇所の海岸台場（砲台）が描かれていますが、記入されている藩士名から察すると、数年下った頃のものと考えられます。

　いずれにしても、この文久図は、過去の絵図を融合発展させ集大成したといえる城絵図です。

　なお、類似図が他に2点あると伝えられていますが、所在は明らかではありません。