歴史資料・ 紙本着彩小田原城絵図　弘化図

 紙本着彩小田原城絵図　弘化図　１幅（市指定　昭和56年3月30日）

【所有】　　小田原市

【所在】　　小田原城天守閣

【形状】　　紙本着色7色　55ｃｍ　Ｘ　55ｃｍ　軸装

【概説】

　この絵図は、大久保氏のお抱え大工で、青物町に住んでいた小沢長蔵家が所蔵していましたが、その孫が田臥家の養子になって絵図も同時に移りました。

　そして、その子孫の田臥直人氏が、天守閣の完成記念として市に寄贈されました。

　図の左下には、「弘化ニ年乙巳五月、或家従り借りて写す、猥に他見を許さず。」とのことが書かれています。

　この図は、享保図に似ていますが、形や記入内容に多少違いがあり、その内容は次のとおりです。

・天守閣裏手の曲輪取りを略して描いている。
・三の丸の侍屋敷に氏名、禄高や諸稽古所、御用所、御普請所御役所などが描かれている。
・市街地には氏名、禄高のほか、此辺松原大明神、浜手口　御門、町方、御長屋（箱根口門外）などが書かれている。

　これらのことから、城内図を所持用として模写したものと思われ、城絵図の機密性が薄らいできた当時の社会情勢がうかがえます。