
■観る者の不安を吸い取る森の暗さ■
「森」は高校生山崎早永さんの作品。一般の部の奨励賞を受賞した。苔むした古木や倒木の暗い森。その根元に蹲る少女。耳を押さえて聞くまいとしているのか自身の心を聴いているのか。眼は虚ろに開いているが、どこを見ているのか。過去か未来か。現実を否定しようとしているのか。この絵は、観るものの不安をおのずと吸収しているように思える。よく言う。不安な時は不安なものを楽しいときは楽しいものを感じとろうと。ただ、気になったのは、少女が暗い森に対して浮き上がっているように見え、森と少女の心のつながりが途切れている感じがする。いっぽう、その違和感は、少女が不安を拒絶し、自身の存在を強く訴えているのかもしれない。遠くに見える明るい部分は、少女の遠い救いを示唆しているのか。