山手橋から県道74号線お城の見えるところは貴重 ― 都市化に埋もれるシンボル
小田原に引っ越してきてから20年ほど経った。そのときは、どこからでもお城が見えるかもしれないという新鮮な期待があった。しかし、期待が裏切られることもしばしばあった。車で県道74号線を荻窪から城山方面へ山手橋をくぐると天守閣が見えてくる。さすが小田原と思った瞬間、大きな道路案内標識が風景を遮る。
国道1号を旧小田原市民会館前のT字路に向かうと、正面に大きな歩道橋がある。旧市民会館は解体されて歩道橋のみが残るが、天守閣への見通しはいいとは言えない。
海が山がそしてお城も見えなくなる日-小田原城の今を記憶に
景観の良さを標榜にした高層ビルやマンションが続々と建つ。いっぽう、それによって今まで見えていたものが見えなくなる。海が、山が、そしてお城が見えなくなる可能性もある。景観計画というのがあるらしい。開発の対象にはこれでもかとばかり木を植えたり庭をつくったり水を湛えたりするのに意を注ぐように感じる。しかし、そこに縁のない市民にも配慮されているだろうか。ミナカ小田原14階の足湯に浸かりながら、君の背中にいる市民のことも慮って欲しい。