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2015年05月26日(火)

「アミューあつぎ」映画「みんなのアムステルダム国立美術館へ」

「 OMP(おだわらミュージアム プロジェクト)」のメンバーから、本厚木にある「アミューあつぎ」で上映されている「みんなのアムステルダム国立美術館へ」の映画がおもしろく、参考になるとメールがありました。上映期間が5月9日から5月22日の2週間しかなく、さっそく観に行きました。
「アミューあつぎ」の外観「アミューあつぎ」の外観

■「みんなのアムステルダム国立美術館へ」■
「アミューあつぎ」は、小田急線本厚木駅から歩いて5分ほどの距離にあります 。もともと三越伊勢丹の百貨店店舗であったのですが、百貨店が撤退した後に、厚木市が複合施設として再開発した建物です。映画館は最上階の9階にあります。

 

オランダの首都アムステルダム市にある「アムステルダム国立美術館」は、レンブラントの大作「夜警」や人気のフェルメールの作品など多くの名品が所蔵されています。アムステルダム美術館は1800年に創立され、1885年現在地に建設されました。赤レンガの壮麗な建物は、オランダの建築家ピエール・コイベレスによって設計されました。しかし、百年を越える建物は老朽が激しく、2004年に改修が開始されました。この改修事業の様子は、ドキュメンタリー映画「ようこそ、アムステルダム国立美術館へ」として制作されました。今回の映画は、その続編です。改修工事は2004年にスタートして、2008年に再オープンが予定されていました。しかし、この改修工事は、市民の反対などさまざまな問題によって何度も中断に追いこまれてしまいます。結局、10年もかかって2013年4月にようやくグランドオープンすることができました。前作と同じウケ・ホーヘンダイク監督が担当した映画は、その10年間のスッタモンダを克明に追っています。途中で交代した2人の館長、学芸員、建築家や内装家など、美術館の改修工事に携わる人々が、工事の進捗管理と並行して、展示品の修復作業やオークション参加など、奮闘している様子が、よくここまでオープンに記録したものだと思いました。

 

映画のポスター・少女の手にヘルメット映画のポスター・少女の手にヘルメット

■公共施設と市民活動の関係■
この映画の見所は、美術館側の設計案と市民の反対運動との対立です。設立当初から、美術館の中央部を自転車道路と歩道が貫いています。市民は毎日その道路を自転車で走り抜けているのです。一方、建物の中央を道路で分断されているので、入館者は右と左の建物を行き来する時自転車が疾走する中を横断しなければならない点を、美術館としては改善したいと考えていました。美術館の顔となるエントランスの設計案は、歩道は残すけれども自転車道路を潰して、地下階に通じるスロープをつくるアイデアを盛り込みました。ところが、市民たちは、自転車はオランダの文化でありアートのためにそれを犠牲にするのは恥だ、とまで言って猛反発します。サイクリスト協会は「通路を救え!」のキャンペーンを張り、地元の委員会は設計案を却下してしまいます。デ・レーウ館長は「彼らは、世界的な芸術を理解していない」と吐き捨てるように言って嘆きます。美術館が掲げるビジョンを理解しない市民に妥協を強いられ続けた館長は辞任してしまいます。
次のヴィム・ペイベス館長は意欲的な人で、遅れている改修工事に精力的に取り組みました。ところが、却下されたエントランス設計案を見つけ、その案を蒸し返して反対運動が再燃してしまいます。しかし、結局、美術館の望む通りにはならず、工事期間は2013年まで延長されてしまいました。映画は、美術館の中央を10年前と同じように自転車が走り抜けるシーンで終わっています。

8階の屋内広場で遊ぶ子どもたち8階の屋内広場で遊ぶ子どもたち

この自転車道路騒動を観ていて、2つのことを思いました。1つは、ヨーロッパの公共事業はもっと合理的で理想主義的に取り組まれているものと思っていましたが、日本の様々な公共事業の実施計画と同じように市民運動との葛藤なくして実施されていないのだという驚きでした。もう1つは、徹底的に議論する市民と美術館の姿です。市民の反対意見は、過激と言えるほど辛辣な言い方です。一方で、美術館側も設計案の狙いと意図を懇切丁寧にいろいろな視点で説明します。互いの意見を述べ合う場が、単なる行政の説明会と市民の陳情的要望に留まらない点が、随分日本の実態と異なるのではないかと感じました。 日本でも公共事業に対する反対運動は厳しく激しく、行政側が最期は強硬手段を取って実現を図るケースも多々あります。一方で、アムステルダム美術館では10年の期間を掛けて、市民の意見を受け入れた案で改修が実施されました。お茶濁しや形式的説明会で終わらせずに、民主主義の基本である「話し合う」ことを徹底する姿勢が双方にあります。そういう意味で、「みんなのアムステルダム国立美術館へ」は、市民は勿論のこと、行政の方々にも是非見ていただきたい映画であると思います。

 

6階の「あつぎ市民交流プラザ窓口」6階の「あつぎ市民交流プラザ窓口」

■複合施設「アミューあつぎ」■
「アミューあつぎ」は、1階から4階までは商業施設が入っています。5階から8階までは、「あつぎ市民交流プラザ」となっています。5階は、アートギャラリーと会議室などです。6階には、窓口や事務室、活動室。7階は、スタジオや音楽室の他に、地域若者サポートステーションがあります。8階は、子育て支援センターで、託児室や屋内広場があります。広々とした広場で子どもたちが遊んでいました。全国の都市で、遊休となった商業施設を有効活用して、複合施設化しています。その特徴は、市民活動の場、子育て支援の場、子どもたちの遊び場、若者支援活動、などが設置されていて、ワンストップで様々な市民活動ができる場となっています。

 

現在、建設工事が進み始めた小田原駅東口お城通り地区再開発事業の中にある「おだわら市民交流センター」の狙いも同様な市民活動拠点で、市民活動プラザや会議室があります。この施設も「アミューあつぎ」と同様に、市民に親しまれて、どんどん活用される拠点となって欲しいと願っています。また、将来的に、隣の区画には、図書館の貸出・閲覧機能や、富士・箱根・伊豆地域の広域交流の玄関口として、ホテルなどの併設も検討されています。
(深野 彰 記)

2015/05/26 12:33 | 芸術


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