無形民俗文化財・寺山神社の鹿島踊
寺山神社の鹿島踊(県指定 昭和46年3月30日)
【保存会名】 根府川鹿島踊保存会
【所 在】 根府川95-1 寺山神社
【概 説】
■舞踊構成
神事舞踊の性格の強い踊りで、舞踊者はその地区の成年(当時は15歳から)男子を主体とし、一家の長男が若者衆への加入の慣習として義務的に参加させられましたが、今はその制度はなく、子供会から中年熟練者まで幅広い参加により、地元が一つになって保存に取り組む熱意が感じられます。
役割 |
人数 |
役割の内容 |
太鼓の役 |
1人 |
踊りの主役で、いつも踊りの中心に置かれます。 |
鉦の役 |
2人 |
常に太鼓の役に付き添い、目より上に鉦を突き上げて打ちます。 |
黄金柄杓の役 |
1人 |
杓の中にはヨネと呼ばれる5色の細かい色紙を入れ、棒を振ってバラバラと落とします。 |
日形の役 |
1人 |
黄金柄杓の役以下、三役といいます。 |
月形の役 |
1人 |
黄金柄杓の役以下、三役といいます。 |
歌上げ |
数人 |
歌をうたう役で長老の役です。 |
警護の役 |
4人 |
踊りに加わらず、四隅に立ちます。 |
以上の役を中心に、幣束(へいそく)と扇又は団扇を持った青年達が踊ります。
衣装は、歌上げを除き、全員が白丁(白張り浄衣、白張とも書き白木綿で作った狩衣)を着用、頭には平礼烏帽子をかぶり、白足袋白緒の草履をはきます。
舞踊は円舞と方舞の組み合わせで、人数は五行五列の25人が定型です。音曲は変化に富んでいて、独特の風格を持っています。
■舞踊の順序
踊りは、太鼓・鉦・三役の順で現れ、左回りに大きく円を描いて一巡し、静止して弥勒歌(みろくうた)をうたい、次に円舞・方舞を二度繰り返します。踊りには全部歌がつき、歌上げが最初の1句を歌い出し、あとは全員で合唱します。
■鹿島踊について
鹿島踊は、相模湾の西岸小田原市石橋から、静岡県伊豆町北川までの22箇所の神社で行われ、県下には10箇所ありましたが、現在は中絶しているところもあります。これらの神社に共通する点は、一社を除きすべて海に面している点です。
そこで考えられるのは、漁業・海運との関係です。背後は険しい崖が迫り、前は荒海というこの地方は、石材や木材運搬の主要地でもあり、その運輸を船に頼っていました。このような事から鹿島踊は、悪疫退散・村落防衛や航海安全の呪芸(まじない)で、平坦な農地に恵まれない人々に信仰の糧を与える芸能となりました。しかし、その定着年代は不明です。
寺山神社の鹿島踊は毎年7月の第3日曜日の祭礼に行われます。
■鹿島踊歌(抜粋)
誠やら鹿島の浦に 御碌お船がついたやら
ともえには伊勢と春日の 中は鹿島の御社
天竺の雲のあいから 十作姫が米を蒔く