工芸品・紀伊神社の木地椀
紀伊神社の木地椀(市指定 昭和45年12月15日)
【所在】 小田原市早川9 紀伊神社
【形状】 大椀:口径9.4cm 小椀:口径17.8cm
楠材で塗りの跡はなく、ろくろをかけた素地の木目がよくでています。
大椀は、やや技巧が施されていて、少し反り気味の口縁があり、裾に2本の彫線があるほか、台が大きくて高くなっています。おそらく飯椀としたものでしょうが、実用のものではなく、神前奉納用に作られたものと思われます。 小椀は、普通の汁椀と思われ、口縁が欠けています。
また、2個ともかなり虫食いがあったため、昭和63年度に補修が施されました。
【概説】
早川の氏神である紀伊神社は、昔紀伊宮大権現または木宮大権現とも呼ばれ、木地挽業者が祖神(神としてまつる祖先)の惟喬親王を奉祭した神社であると木宮大権現由来記やその他の古文書に述べられています。
この木地椀は、おそらく室町時代の制作で、木地挽業者たちが祖神とした紀伊宮大権現に奉納したものを、神社が社宝として、現在まで保存してきたものと思われます。