工芸品・紀伊神社の木地椀 2個 (きいじんじゃのきじわん)
所在 | 早川1183-1 紀伊神社 |
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形状等 | 大椀 口径18.7cm 器高11.9cm 小椀 口径17.7cm 器高9.6cm |
紀伊神社の木地椀
概説
旧早川村の鎮守である紀伊神社の宝物として伝わった木地椀です。
楠材を樹木に対して横向きに使い、ロクロで挽いた木地椀で、漆を塗った痕跡は見られません。
大正15年(1926)の『箱根物産の沿革』によると、この時点では3点の木地椀が伝えられていたことが分かります。
現存するのは大小2点の椀で、大椀は大きな高台を持ち、椀胴部下半に2本の陽線を削り残して装飾しています。
口唇部は外反して玉縁(たまぶち)状となっています。
小椀も高めの高台を持つもので、大椀のような装飾はなく、口唇部もまっすぐです。
いずれも、小田原城および城下の発掘調査で出土する漆器椀に類似した器形のものがあり、出土資料との比較検証から16世紀代の資料と考えられます。
紀伊神社は、紀伊宮(きのみや)大権現、木宮(きのみや)大権現とも称され、本地地蔵を置き、五十猛命(いそたけるのみこと)を祭神とします。
『木宮大権現由来記』によると、木地師が業祖とする惟喬親王(これたかしんのう)を奉祀したことから木地師の信仰を集めたとされ、木地椀の由緒が類推されます。
漆を塗布していない木地椀は劣化が早く、本木地椀も昭和63年(1988)に補修が施されています。
市内では現存最古の木地椀と評価できます。
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