
「あれか、クマさんの上のゆったりした明かりは、」
「木洩れ日ちゅうやつや。思い出すなぁ、セミも鳴いとる。」
「そや、あんたと初めて会うたんは、住吉さんの境内やった。」
「となりのおっちゃんが、ええ男がおるから行ってみい言うんで。そしたら、ボーっと突っ立って、あんたがおったんや。こんなんなぁ。」
「何や、それ。私は、あんた、かわいいなぁ思うたで。見るからに大人しそうな、ええ娘さんやなぁと。」
「それが、今ではやなぁ・・・。」
「あんたは、あの頃とあんまり変わらへんなぁ。真面目なええ人や。」
「このクマさんも、でっかいけどかわいいなぁ。」
「ええクマさんや。このポーズがええわ。あんたといっしょや。」
「よう鳴いとる。このセミもようできとるなぁ。」