(写真5)床の間風 床の間は、和室に設けられた「床を持つ部分」です。正式な床の間では、その両側に付書院(つけしょいん)と違い棚(ちがいだな)が設けられています。床の間は、床柱と床框(とこがまち)を設けた畳より一段高い床になっています。一方、簡易な床の間として「踏込床」(ふみこみどこ)があり、床部分が高くなっていなくて、畳と同じ高さに床があります。甘柑荘の居間にある床の間は、踏込床のように見えます(写真5)。ところが、床の間では床柱を手前の角に設けるのが普通ですが、甘柑荘では皮付きの白樺の床柱を奥の壁に半分埋め込んであります。更に、床の間の上部には手前に垂れ壁が設けられて、床の間の天井部は正面から直接見えずに暗がりになっていますが、甘柑荘では垂れ壁がありません。このように、居間の床の間風のコーナーは、床の間のように額を掛けたり、花を生けたりする空間として利用できますが、正式な床の間ではありません。ある意味では、非常に「開放的な近代的な床の間」と云えるかもしれません。