市長コラム

2023年10月19日(木)

市長コラム(令和5年10月19日)「長野県小布施町・大日向小学校視察」

 令和5年9月27・28日の両日にわたり、長野県小布施(おぶせ)町のまちづくりと、同県佐久穂(さくほ)町にある大日向(おおひなた)小学校の取組に関する先進事例をそれぞれ視察しました。

 1日目に伺った小布施町は、四方を川と山に囲まれた長野県北部に位置する町で、小布施栗や小布施丸なすをはじめとしたりんご・ぶどうなどの農産物、江戸時代後期の絵師 葛飾北斎が最晩年に創作活動を行った地に由来する北斎館などの美術館、個人宅や店舗の庭を開放した町内100か所以上のオープンガーデンや花の情報発信基地「フローラルガーデンおぶせ」など花によるまちづくり等で知られており、「栗と北斎と花のまち」を標榜されています。
画像出典:小布施町公式サイト画像出典:小布施町公式サイト
画像出典:おぶせオープンガーデンギャラリー画像出典:おぶせオープンガーデンギャラリー
 小布施町では、まず町役場に伺い、桜井昌季(まさき)町長と「地域が抱える課題」や「これまでのまちづくりの足跡」、「地場産品や食に関する取組」などについて、意見交換をさせていただいた後、北斎館事務局長の塩澤耕平様に、町立図書館やまちなみ集積エリアを実際に歩きながらご案内していただきました。
 その後、これまで小布施町のまちづくりの担い手として活動されてきた小布施堂代表取締役である市村次夫様との意見交換をはじめ、小布施町総務課の大宮課長、小布施町に移住して起業した宮田湧太様、ガイド役を務めていただいた塩澤様との意見交換もさせていただきました。
 小布施町は、町民と行政の距離感が近いという特徴を生かし、町民との協働による「うるおいのあるまちづくり」や官民協働による「街並修景事業」、町民との多岐にわたる協働の推進など、公民連携等によりまちづくりを進めており、その結果、面積的には長野県内で最も小さい規模にも関わらず、年間100万人以上の観光客を受け入れる県内有数の観光地となっています。
 また、これまでまちづくりを担っていた世代が、将来のまちのことを考え、20代・30代といった若者たちのアイデアなどを具現化することを温かい目で見守っており、着実に次世代が育っていることが印象的でした。


 視察2日目は、イエナプランスクールとして日本で初めて認定され、2019年4月に開校、今年で5年目を迎えた、佐久穂町にある「学校法人茂来(もらい)学園 大日向小学校」を視察しました。
 「イエナプラン」は、ドイツ人のペーター・ペーターゼンが創始し、オランダで発展したオープンモデル型の学校教育のことで、子どもたちを異年齢による学級構成にして、子ども一人ひとりの違いや個性を尊重し、社会で自立しながらも、他者と共生できる人物を育てていくことを重視しています。
画像出典:学校法人茂来学園 大日向小学校ウェブサイト画像出典:学校法人茂来学園 大日向小学校ウェブサイト
 大日向小学校は、いわゆる私立の小学校で現在、児童171人が在籍しています。 特徴の一つとなっているのが、一学級(グループ)内の学年がまたいでいること。
 低学年(1・2年生)、中学年(3・4年生)、高学年(5・6年生)の異年齢学級に分け、その学級を12人のスタッフ(教師)で運営しています。
 また、児童たちの居住地は、2割が地元の佐久穂町、8割が隣町の佐久市となっており、教育移住として新たに転入された方がほとんどだそうです。
画像出典:同校ウェブサイト画像出典:同校ウェブサイト
 久保礼子校長とのオリエンテーションでは、開校するまでの苦労話や、小学校での1日の様子、イエナプランなどについてのレクチャーを受け、その後、実際に授業風景を見学させていただきました。
 各教室では児童が円になり、2名のスタッフの話を聞きながら、自分の意見などを自由にいきいきと発表し合っていたのが、特に印象的でした。 視察当日は、年に数回開催される見学日でしたが、参加者は現役の校長先生や大学生など全国各地から訪れており、その教育方針の注目度の高さを改めて実感しました。
 なお、現在イエナプラン教育の認定校(小学校)は、この大日向小学校と、2022年4月に広島県福山市に開校した公立の「常石ともに学園」の2校となっています。
画像出典:同校ウェブサイト画像出典:同校ウェブサイト
 近年の少子化・核家族化の進展や、ライフスタイル・社会経済状況などの変化に伴い、子供たちや学校を取り巻く環境が大きく様変わりしています。
 そのようなことを踏まえ、本市教育委員会では、令和4年度から子供たちにとって望ましい教育環境について検討する「新しい学校づくり検討委員会」を設置し、「新しい学校づくり推進基本方針」の策定を進めており、現在パブリックコメントを実施しています。
〇意見募集のページhttps://www.city.odawara.kanagawa.jp/field/municipality/municipality/comment/details/R5atarashiigakkozukuri.html

 基本方針策定後は、基本計画、施設整備指針の検討に移っていきます。引き続き、子供たちや保護者の声、学校関係者や地域の皆さんなどのご意見などをお聞きしながら、本市にとって望ましい学校のあり方をしっかりと検討していきたいと思います。

●参考ウェブサイト
・小布施町公式サイト 
https://www.town.obuse.nagano.jp/index.html
・おぶせオープンガーデンギャラリー 
https://obuse-opengarden.com/gallery
・学校法人茂来学園 大日向小学校・大日向中学校
https://www.jenaplanschool.ac.jp/

2023/10/19 11:39 | 未分類

 
 

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