市長コラム

2023年04月07日(金)

市長コラム(令和5年4月7日)

 3月27日・28日は、イノベーション創出やスタートアップ支援に係る先進事例の調査のため、福岡市へ視察に行ってまいりました。
 福岡市がスタートアップ支援に乗り出したのは2012年(平成24年)のこと。同市の高島市長が、前年に訪れた米国のシアトル(人口は福岡市の約半分でありながら、マイクロソフトやスターバックス、コストコといった世界の名だたる企業が生まれている。)に倣い、それまでの支店経済都市からの脱却、そして世界に誇る企業の誕生を目標に掲げ、「スタートアップ都市ふくおか宣言」を発表したことから始まっています。
 これまでの取組の結果、福岡市における開業率は政令指定都市の中で1位。2020年度(令和2年度)は7.2%と、全国平均(5.1%)と比べても高い数値を記録しています。地方創生に繋がる本市での今後の取組の参考とするため、お話を伺ってまいりました。

 27日の午前中は、福岡市が官民共働型スタートアップ支援施設として、平成29年に旧大名小学校を活用して開設した「FUKUOKA GROWTH NEXT(FGN)」を訪問。
 当日は、福岡市の担当者のほか、施設の運営事務局やコミュニティ運営を担う明星和楽実行委員会の方も参加されました。FGNは、それまで市内に点在していたインキュベーション施設を集約し、「福岡の人・モノ・金・情報」が全て集まる拠点にすることで、化学反応が起きやすい土壌を整えており、令和4年5月時点で入居する企業は外国人起業家を含め198社に上り、併設するスタートアップカフェと合わせて、これまでの起業数は600社以上、資金調達における投資件数は70社以上、投資額は250億円以上(令和5年3月末時点では、起業数750社、投資件数は85社、投資額は350億円に達する見込み)、雇用増加数は540名以上、ビジネスマッチング件数は96,000件という実績を上げているとのことです。
 また、FGNでは、入居企業との事業連携を探る大手の企業がスポンサーとして携わっており、現在は、九州電力やLINE FUKUOKA、さくらインターネットなど合計33社がスポンサーとして支援。起業を目指す人や大企業等が集い、結合させ、様々なイベントを組み合わせながら、イノベーションの創出や事業化につなげており、コミュニティの強さや、行政との近さが強みであると感じました。
スタートアップ支援施設「FUKUOKA GROWTH NEXT(FGN)」のWebサイト
 27日の午後は、民間の事業者が開設・運営するイノベーション施設2カ所を訪問。一つは、G's ACADEMY(ジーズアカデミー)が運営する「G′s BASE FUKUOKA(ジーズベースフクオカ)」、そして、もう一つは、株式会社SALTが運営する「SALT(ソルト)」です。

 ジーズベースフクオカを運営するジーズアカデミーは、社会の要望(ニーズ)や課題を解決できる新たなサービスやエンターテイメントを生み出す、プロレベルのスキルを持つ真のデジタル人材を育成することを目的に誕生したアカデミーであり、1,800名を超えるコミュニティを有しています。そのジーズアカデミーが拠点として開設したシェアオフィスがジーズベースフクオカであり、他の拠点と合わせて、これまでに累計200社がスタートアップしています。
シェアオフィス「G′s BASE FUKUOKA」のWebサイト
 また、ソルトは、福岡市の中心街の天神から電車で20分という西区の今宿エリアにあり、海に面した6階建ての魅力的なシェアオフィスです。このロケーションに引き込まれるように、大手自動車メーカーや人材派遣会社など、多くの企業が利用しており、日ごろの業務とは異なる空間で、普段では知りえない人たちとの触れ合いを通して、それぞれの新しい働き方を探しています。
○シェアオフィス「ソルト」のWebサイト
 どの施設も、利用者が持つ課題や理想に向き合い、多くの人や企業の協力を得ながら、お互いに触れ合えるような近い距離感の中で取組を進める姿に、本市が進める新しい働き方の拠点「ARUYO ODAWARA(アルヨ オダワラ)」との共通点や親和性を見ることができ、今後の展開にも、自信を持って進めていけると感じることができました。

 28日は、福岡市の高島市長に面会し、市政運営について意見交換を行いました。
 高島市長は、福岡市をアジアのリーダー都市とするべく、積極的な経済政策などで政令指定都市において開業率連続日本一へと牽引。私が尊敬する地方自治体リーダーの一人でもあります。
 福岡市は、面積343km2、人口163万人余と、本市とは自治体の規模こそ異なりますが、世界の中で、存在感のある都市づくりを進めようとする姿に共感を覚え、多くの刺激をいただきました。自治体の長として情報交換を図りながら、お互いに盛り上げていけたらと言葉を交わし、福岡市役所を後にしました。
 今回、福岡市を訪問させていただき、福岡市には、そこに住まう、そして集う人々のつながりの強さがあり、その強さによって多くの新しいものが生まれていると感じました。人々のつながりの強さは、ここ小田原も負けていません。
 市民の皆様や事業者の皆様と連携・協力し、そして、福岡市を含む、同じ高みを目指す他の地域や自治体とも連携・協力をいただきながら、「世界が憧れるまち"小田原"」の実現に邁進してまいります。

2023/04/07 16:43 | 未分類

 
 

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