観光トピックス

「うたの生まれるまち 小田原」

海と山の豊かな自然に恵まれ、歴史と文化がまちに息づく小田原。

日常から離れて小さな発見や気付きのある旅。

旅のなかで心に留めるもの、心に浮かぶもの。

結晶のような旅の瞬間を携えていくひとつの物語をお届けします。


歌人:中山 俊一

あらすじ

東京で暮らす幼馴染の七瀬(ななせ)と岳瑠(たける)。

七瀬は休暇に岳瑠を誘って小田原に出かけることに。
大学の入学式、入社祝い、祖母の法事。
節目で会うことはあったけど、二人きりで旅行をするのは初めて。
幼い頃に小田原に岳瑠の両親と一緒に家族ぐるみで行ったが、ほとんど覚えていない。

冬を越した小田原に岳瑠はひとりで訪れる。
かつて七瀬と来た博物館を訪れる岳瑠。

キャンプ場で出会った男女と一緒に夜を過ごす。

ロケ地 / 短歌

短歌

なぜならばかつて翼があったからいま宙吊りの⾻格模型

歌人からの一言

宙吊りの全⾝⾻格模型を⾒上げて、なにやら美しい罰を受けているかのように⾒えた。
何故こんなことになっているのか考えると、かつて翼があり空を⾶んでいたからだという⾄極当たり前の結論に⾄った。
しかし、恐⻯にとっては奇妙であろう事の顛末をぶっきら棒な形で歌に残したいと思った。

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短歌

擬態する⾍のようなり物⾔わぬ少年の背に美しき翅

歌人からの一言

コノハムシやコノハチョウの標本が並ぶガラスケースをじっと⾒つめる少年がいた。
すぐ近くには華やかな⾊彩を持つ蝶が無数に並んでいるのに、そのガラスケースから⼀向に離れようとしない。
家族の呼ぶ声にも反応しない。
何が少年を惹きつけているのか。
瑞々しい好奇⼼は美しい翅のように少年を遠く運ぶ予感がした。

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短歌

凍星の如き静けさ薪焚べる顔だけ浮かぶ野宿の夜

歌人からの一言

夜空に輝く凍星のように、夜⼭のキャンプ場では焚き⽕の灯りが点々としていた。
その灯りに浮かぶのは黙々と⽕を⾒つめる⼈の顔だけ。
静かでどこか淋しくも⾒えるその顔を凍星の持つ印象と重ね合わせた。
そんな⾒⽴ての歌である。

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location : 
小田原文化財団江之浦測候所(冬⾄光遥拝隧道)

短歌

産道を振り返らずに⽣まれけむ光や冬⾄の朝迎えたり

歌人からの一言

産道のような暗がりがあった。
そこに光が差し込む時、⽣命の息吹のようなものを感じた。
光のように真っ直ぐに、私たちも産道を振り返ることなく⽣まれたはずだ。
皆等しく、⽣命⼒という根源的な輝きを持っている。
冬⾄という巡り来る死と再⽣の節⽬。
この施設が「⼈の最も古い記憶」を現代⼈に蘇らせる為に構想されたということに感銘を受けて、 作歌した。

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location :
小田原文化財団江之浦測候所(光学硝⼦舞台) 

短歌

潮騒は喝采となる踊り⼦の如く光は⽔⾯を跳ねて

歌人からの一言

無⼈の舞台に⼼を動かされたのは初めてだった。
⽔⾯に浮かぶように設置されたこの舞台を、光という名の踊り⼦がステップを踏むように反射する。
その瞬間を歌の中でしっかりと再現したかった。
⿃の鳴き声や⽊々を揺らす⾵の⾳、そして潮騒がその踊り⼦の舞台を引き⽴てていた。

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その他の短歌

永遠に巡れど⼆度とは戻れない⾨潜るとき⽇は傾きて(- 小田原文化財団江之浦測候所(名月門旧奈良屋門))

歌人からの一言

巡りゆく季節や命の輪の中で、確実に存在する不可逆的な時の流れ。
⽣の連続性と⼀回性。
江之浦測候所は私にとってそれを痛感する場所になった。
帰ろうと⾨を潜るとき、⽇が傾いて⼀瞬あたりが暗くなった。
なんでもないようなことだが、印象に残っている。


カーナビは給油所を指す海沿いのみかん畑に⾒惚れる時も(- 小田原市内)

歌人からの一言

⼩⽥原の海沿いではみかん栽培が盛んである。
海岸線を⾞で⾛っていると⻘い海と緑の ⽣い茂る⼭、そこにみかんの鮮やかな⾊がぽんぽんと散らばってとても美しい。
信号を待ちながらそんな景⾊に⾒惚れていると、カーナビの味気ない声が聞こえた。
美しい景⾊に⼼満たされてゆく⼼地であった私とカーナビが給油所を指す切迫感。
このちぐはぐな感覚を詠んでみたいと思った。

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キービジュアル

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経済部:観光課

電話番号:0465-33-1521

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