最終更新日:2024年03月01日
「うたの生まれるまち 小田原」
海と山の豊かな自然に恵まれ、歴史と文化がまちに息づく小田原。
日常から離れて小さな発見や気付きのある旅。
旅のなかで心に留めるもの、心に浮かぶもの。
結晶のような旅の瞬間を携えていくひとつの物語をお届けします。
歌人が実際に小田原に訪れて書き下ろした「短歌」を添えて。
歌人:二三川 練
location : 太田木工
触れてても無限に遠いわたしたち 寄木細工の地球のうえで
工房にボンドで束ねられた寄木が置かれているのを見ました。
きつく触れあっているように見えてボンドの壁に阻まれた木々たちのことを考えました。
この地球もたくさんのプレートが組みあわさってできており、また多くの人々がひしめきあって成り立っています。
それなのに、人と人とがつながることはなぜこうも難しいのでしょう。
location :
フォレストアドベンチャー・小田原
体重をあずけるものが増えてゆくいつか手放してもいいように
アスレチックは太いワイヤーに体重を預ければ預けるほど安心できました。
同時に、生きていく上で「自立」とは何を指しているのかについて考えていました。
心を預けられるものが多ければ多いほど安心するけれど、私も周りの全ても永遠にあるわけではありません。
いつかはワイヤーから離れて自分の脚で立って歩かなくてはならない。
いつか来るその日のために、私たちは寄り添って生きていく。
location : 露木木工所
歴史ごと編みこまれゆく神代の木々につめたきグラスをのせる
寄木細工に使われる「神代木」という木の呼称を知り、非常に印象に残りました。
そんな木をコースターなどに使うことに畏れ多さを感じました。
もしそのコースターでジュースなどを飲んだら厳かな気持ちになるかもしれません。
寄木細工という技術自体にも歴史があり、そこに使われている木にも歴史がある。
当たり前のことですが、歴史への敬意を忘れずに生きたいです。
location : 白糸マス釣りセンター
この足もいつか地球に掬われるそれまでは糸を垂らす鱒釣り
鱒が糸にかかるのを待つ間、もし自分が魚だとしたら何に釣られるのだろう…… ということを考えていました。
いつか地球の回転に追いつけずに転んでしまうことがあるかもしれません。
地球のスピードはいつも速すぎて、鱒釣りをしている間のそのゆっくりとした時間が心地よかったです。
location :
フォレストアドベンチャー・小田原
手のひらの汗の木屑を見せあって木々のすきまへ消えるあなたは
アスレチックを進んでいくと、汗に濡れた手のひらに木屑がついていました。
ズボンも土まみれになって、でもそうやって汚れていくことが全力でアスレチックを楽しんでいる証なのだと思いました。
必死にハシゴを登ったり高いところを怖がったり、普段は出会えない自分と出会える体験でした。
もし誰かと行っていたら、先に進んでいった相手の背中を見ながら少しだけさみしくなる時間を愛おしんだと思います。
ここでしか聞けない制作への思い、作品のビハインドストーリーや25分のショートフィルムVer.も公開中
電話番号:0465-33-1521