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2023年10月06日(金)

「かもめコンサート」

 「かもめコンサート」は、小田原の市民団体「かもめコンサート実行委員会」が主宰するクラッシック・コンサートです。開催当初は、演奏会場として「小田原市立かもめ図書館」視聴覚ホールを使用していました。そこには、2013年(平成25年)に寄贈された作曲家・石井歡(いしい かん)先生がご愛用されたグランドピアノがありました。石井歡先生は、1921年(大正10年)3月30日東京都で生まれた作曲家です。先生は、管弦楽曲、合唱曲、歌劇、バレエ、映画音楽など幅広い分野の曲を作曲する傍ら、長い間、社団法人全日本合唱連盟理事長を務めるなど日本の音楽文化の向上に寄与され、小田原市の音楽文化高揚のため尽力されました。「かもめコンサート実行委員会」は、石井歡先生の功績を記念して、ピアノが寄贈された2013年(平成25年)より「かもめコンサート」を開催してきました。2021年(令和3年)9月に小田原三の丸ホールが開館し、石井先生ゆかりのピアノは三の丸ホール・スタジオへ移設されました。それを機会に、かもめコンサートも三の丸ホール・小ホールへ会場を移して開催しています。
(写真1)第17回永田菫ヴィオラリサイタル(写真1)第17回永田菫ヴィオラリサイタル
 かもめコンサートの特徴は、小田原・西湘ゆかりの若い音楽家のみなさんが出演者であることです。舞台経験の機会が少ない若い音楽家に、本格的なホールでのソロリサイタルでコンサート経験を積んでいただけるステージを提供してきました。かもめコンサートでの演奏曲は、出演者自身で選曲して頂いています。本邦初演となる曲を紹介する意欲的な演奏者もいて、それもまた、若々しいチャレンジの場となっていると感じます。
(写真2)第19回布施砂丘彦コントラバスリサイタル(写真2)第19回布施砂丘彦コントラバスリサイタル
 かもめコンサートは、これまで20回の演奏会を開催してきました。2016年(平成28年)7月には、旧小田原市民会館小ホールで、第10回記念コンサートが開催されました。2021年10月のかもめコンサート第17回ヴィオラの永田菫さんのリサイタルは、開館したての三の丸ホール小ホールの杮(こけら)落しとして開催されました(真1)。永田さんは、まだ東京藝術大学の学生でした。2022年(令和3年)8月には、新進気鋭の布施砂丘彦さんによるコントラバス・リサイタルを開催しました(写真2)。コントラバスだけのリサイタルはとても珍しく、その豊かな音色に驚かされました。
(写真3)第20回記念コンサート(大ホール)(写真3)第20回記念コンサート(大ホール)
 本年度は、かもめコンサートが20回を迎え、4月に三の丸ホール大ホールにて5年間の出演者が勢ぞろいした第20回記念コンサートが開催されました(写真3)。個性豊かな出演者たちが、芳醇な演奏を奏でてくれました。10月15日日曜日には第21回「石田千飛世 ピアノ・リサイタル」が開催されます(写真4)。
(写真4)第21回石田千飛世ピアノリサイタル(写真4)第21回石田千飛世ピアノリサイタル
 かもめコンサート実行委員会では、三の丸ホール小ホールでのコンサートの他、小田原市「市展」でのギャラリー・コンサートや、2021年3月27日の「ありがとう市民会館コンサート」などを主催してきました。2019年(令和元年)9月には「石井歡先生没後10周年記念コンサート」を開催して、石井先生を多くの方々と偲びました。今後は、街なかの会場でのミニコンサートの開催など、機会を見つけてかもめコンサート出演経験者である若手演奏家の出演機会を設けていくそうです。
 かもめコンサート実行委員会は、若い音楽家たちが小田原の地からかもめのように日本中へ、そして世界へ羽ばたいて欲しいと願って活動を続けています。世界中の各地で戦いが勃発している時だからこそ、言葉を超えて心が通い合える音楽こそが必要な時代ではないでしょうか。若い音楽家たちの瑞々しくひたむきな演奏は、必ずや、それを聴く人々の心に響くことでしょう。
 来年度令和6年5月19日(日曜日)には、かもめコンサート第22回「澤田 優子 フルート・リサイタル」が予定されています。多く市民の皆さんが若い音楽家のステージにお出かけになり、心豊かな時間を楽しまれるひとときになると思います。
広目子 記
(写真5)かもめコンサートのあゆみ(写真5)かもめコンサートのあゆみ

2023/10/06 08:50 | 音楽

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