文化レポーターわだっちです。
『小田原物レコード』第3弾をお届け致します。
2022年から始めさせていただいております連載『小田原物レコード』 音楽と小田原の歴史を愛するわたくしが地道な調査から発掘しております。
「小田原物レコード」とは概ね以下のテーマを扱っております。
◯小田原縁の人物がテーマ。
◯小田原をPRするレコード。
◯小田原でジャケット撮影されたレコード等々です。
第1弾はこちら
https://www.city.odawara.kanagawa.jp/index.php?p&d=field%2Flifelong%2Fculture%2Freporter%2Freporter&c&type=article&art_id=7737
第2弾はこちら
https://www.city.odawara.kanagawa.jp/index.php?p=&d=field/lifelong/culture/reporter/reporter&c=&type=article&art_id=7819
今回は、NHK大河ドラマ『どうする家康』でも、その場面の登場に期待が募る1590年の小田原合戦。
戦国オールスターズとも呼べる大軍団を迎え打った北條五代終焉の様子を、現代と変わらぬ雄大なる往時の小田原の情景と共に歌い上げた『ああ小田原城』を紹介致します。
『ああ小田原城』
・昭和37年発表。
・歌 こまどり姉妹(※1)
・作詞 石本美由起
・作曲 遠藤実
・演奏 コロムビアオーケストラ、・琴 米川敏子
小田原市民会館完成を記念し、新しい小田原の歌として発表(「小田原小唄」(歌・五月みどり(※2)、中尾渉)と両A面扱い。両曲共に同作詞・作曲者)。
昭和30年代〜50年代頃。
自治体等が大手レコード会社にPRソング等の制作を依頼した「委託制作盤」と呼ばれるレコードが各地で作られました。
このレコードもそうした1枚です。
小田原近隣では、開成町「かいせい音頭」(春日八郎)、平塚市「七夕おどり」(都はるみ)があります。
こうしたレコードは、有名歌手が歌っている場合も多いと言う特徴もありますが、限られた生産数で、販売よりもPR活用が主目的であった為、現在では入手困難な委託制作盤も数多く存在します。
珍しい例としては、昭和38年に東京都東村山市(当時「町」)の農業協同組合による「東村山音頭」(三橋美智也・下谷二三子)は、後の昭和51年に志村けんのカバーにより大ブレイクが起こると言った、委託制作盤を起点とした全国ヒットも誕生しています。
昭和37年の時点で、作詞の石本美由起・作曲の遠藤実は、美空ひばりを始めとした人気歌手の楽曲を多数手掛け、こまどり姉妹、五月みどりは、この前後から紅白歌合戦にも出場。
時の人気者が勢揃いで新しい小田原の歌が作られた事は、当時の小田原の経済・文化の両面的豊かさを物語るエピソードではないでしょうか。
しかし、現在「小田原小唄」は耳にする機会はあっても「ああ小田原城」が聴ける機会は殆ど見当たらない気がします。
配信サイト等でも聴く事が出来ますが、機会があれば是非皆さんにレコードからの音を楽しんで頂ければと常々考えております。
尚、「ああ小田原城/小田原小唄」のレコードは昭和54年に改めて生産され、私の手元のレコードも昭和54年盤です。
併せまして、こまどり姉妹は、鎌倉時代の曽我地区に育ったと伝わる曽我兄弟を題材にした『曾我兄弟』を昭和39年に発表しています。
折角ですのでジャケットだけでも紹介させて頂きます。
以上、第3弾「小田原物レコード」でした。
◯写真1(『ああ小田原城/小田原小唄』はジャケット無し。
歌詞と踊り説明のみ封入)
◯写真2(こまどり姉妹「女の恋/曾我兄弟」のジャケット)
※1「こまどり姉妹」=昭和34年デビューの姉妹デュオ歌手。紅白歌合戦出場の他、バラエティー番組等にも多数出演。
※2「五月みどり」=昭和36年「おひまなら来てよね」のヒットにてブレイク。以降、歌手・女優・タレントとして大活躍。
(文中の人名・名称は、恐縮ながら敬称略とさせて頂きました。)
わだっち記