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2016年04月13日(水)

小田原の街でこんな美術展【東京編】

東京で開かれていた2つの美術展に行ってみた。新国立美術館(六本木)の第75回記念水彩連盟展と東京都美術館の第66回モダンアート展だ。ともに日本の現代美術界を支える代表的な団体が公募する全国展。
■水彩連盟展■ 小田原地域から3人が入選

日本を代表する全国公募団体「水彩連盟展」では、小田原地域(小田原・南足柄)から一般3人が入選し、加えて会員作品1点が展示されていた。全国から400点近くの一般入選のうち47点が神奈川県、3人が小田原から入選といえば、小田原もなかなかの文化の街といえる。「さくらさくら」は、季節にふさわしい桜の花びらの散る中の女の子。手元の花びらが子どもの心のように踊る。「朱いパンツの女性」は初入選だそうだ。暖かそうなダウンジャケットにブーツ。朱色のパンツが若さを強調する。「フロム・インディア」はインドの鮮やかな民族衣装を着た女性が、色を省いた白い面と黒い線で描いた遺跡に佇む。どれも80号(たたみ1畳半くらい)の大作だ。そのうえ、3人とも第二金土デッサン会の常連会員だ。また、出展作がどれも立っている人物というのは偶然か。絵画というと油絵がほとんど。水彩画はスケッチのイメージが先立つ人も多いだろう。一般に水彩画は透明感のある作品が多い。しかし、油絵に近い不透明水彩(ガッシュ)という画材もある。鮮やかな発色のアクリルもある。水彩連盟の趣意に「水溶性の画材を用いて表現の可能性を追求し」と述べられている。水彩技法は“にじみ”や“ぼかし”などの水を溶剤として使うために独特の表現が可能となる。油絵と見まがう濃厚な作品から清澄な透明感溢れる作品まで、多彩な大作が水彩連盟展の会場を埋めていた。

■モダンアート展■ 鑑賞者に委ねられる感動
知り合いが出展(会員)している「モダンアート展」を上野に訪ねた。作品のほとんどが抽象画だった。大辞林によれば、モダンアートとは「近代美術。現代美術。主として抽象主義・超現実主義などの新傾向の美術作品」ということのようだ。カタカナでいう、「アブストラクト」とか「シュール」なのか。モダンアートは、日本語では「現代美術」だろう。カタカナで書くと定義が狭くなるが、漢字で書くとぐっと範囲がひろがる。この「モダンアート展」は、もちろんカタカナの方。抽象画の大作が圧倒する。筆者自身が感動に薄い性質(たち)なので、洗練されたデザイン作品には気がそそられるが、心象を表現するような作品には入り込めない。作家さんも作品を解説(?)することは好んでいないようだ。キャプション(画題)から作品を読み解くことも難しい。ということで、この美術展については、会場風景だけを載せる。大きめの絵の写真からなんとか理解してほしいところだ。いや、感動はしてもよいが理解しようとしてはいけないのかもしれない。彫刻の部(写真中央)もあった。木彫の作品も多い。木は小田原の文化。「おだわら賞」ウッドワークス全国公募展など創設したらいかがだろうか。
 
■絵とキャプション■
作品とキャプション(題名)について以前のレポートで触れたことがあった。絵の題は、完成してからつけるというのが普通という気がする。モチーフは方向性を示すが題を決めるほどの力はない。作家が描き進めていくうちに具象であれ抽象であれ、心に塊ができてくる。絵も試行錯誤するが心も試行錯誤している。おそらく、とくに抽象の場合は、筆を執った時と置いた時では、違った題がつくだろう。これが鑑賞者にとって厄介ものだ。仕方がないから、分かった風をして「すばらしいですね」と言うことになる。(ゆきぐま記)
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第75回記念水彩連盟展
期日 2016年3月30日(水)-4月11日(月) 5日(火)休館10:00-18:00
会場 国立新美術館(六本木)
 
第66回モダンアート展

期日 2016年4月1日(金)-16日(土) 4日(月)休館9:30-17:30

会場 東京都美術館(上野)

2016/04/13 12:00 | 美術

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