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2022年02月16日(水)

柳家三三 初春公演・寄席囲いお披露目

(写真1)三三師匠公演幟(写真1)三三師匠公演幟
 2月5日(土)は、立春の翌日にしては、箱根は雪に白くけむって小田原にも風花が舞う寒さでした。小田原三の丸ホールのポールには、「柳家三三師匠へ」と色鮮やかに染め抜かれた幟(のぼり)が、寒風にはためいていました(写真1)。この日の13時より、大ホールで「柳家三三 小田原落語会・新春公演」が開催されました。公演には人気講談師・神田伯山さんも出演することもあって、チケット販売は即日完売となったそうです。
(写真2)来館者を迎える展示室の三三の幟(写真2)来館者を迎える展示室の三三の幟
 三の丸ホールの1階にある展示室では、柳家三三師匠のこれまでの小田原での公演チラシや、三三師匠ゆかりの場所を示した小田原市街マップなどが展示されていました。三三師匠の小田原での足取りを辿れるようになっていて、たくさんのファンの方々が熱心にご覧になっていました(写真2)。落語公演に合わせて、三三師匠と小田原との繋がりを知るよい機会となりました。
(写真3)初春公演の立て看板(写真3)初春公演の立て看板
 この初春公演は全席指定のため、開場時間になってもホール2階の通路に行列ができることはありませんでした。大ホール入口には、立て看板と三の丸ホールが制作した「寄席囲い」の絵が掲示されていました(写真3)。寄せ囲いについてはこちらの記事
 「寄席囲い」とは、落語などの舞台上の高座を構成する大道具のことです。板塀やぬり壁、格子窓などが描かれていて、いかにも江戸の下町情緒を思わせます。三の丸ホールでは、昨年7月から検討を始めて、寄せ囲いを大ホールに合わせて特注して製作しました。
公演前には関係者が集まった最終確認が行われ、その大変興味深い場に立ち合わせていただけました。

高座が完成するまでの番外編は、こちらの記事
(写真4)続々と集まる来館者を幟が迎える(写真4)続々と集まる来館者を幟が迎える
 12時過ぎると、三の丸ホールへは続々と観客が来場してきました。「柳家三三」と染められた幟が連なって、来館者を迎えてくれます(写真4)。風にはためく幟が目に入れば、否応なしに心は躍ってしまいます。
(写真5)次々と観客が入場します(写真5)次々と観客が入場します
 開演時間が近づくにつれて、次々と観客が大ホールに入場してきました(写真5)。
(写真6)大ホールの満席の迫力(写真6)大ホールの満席の迫力
 開演前には、大ホール客席は満員の観客で埋め尽くされました(写真6)。昨年9月の開館記念事業では、客席は半分しか使われませんでしたから、このような満員の大ホールを見るのは初めてで、迫力ある光景でした。
(写真7)寄席囲いのお披露目(写真7)寄席囲いのお披露目
 開演時間となり緞帳が上がると、いよいよ舞台いっぱいに広がる寄席囲いが現れました(写真7)。お囃子が聞こえてきて、前座の柳亭市好の「転失気(てんしき)」に続いて、いよいよ三三師匠の登場です。枕で立派な大ホールと本格的な寄席囲いを褒め、「小田原市はお金があるんですね。まあ一部は私のギャラから削られたんでしょう」と会場を笑わせました。枕からいつの間にか「狸賽(たぬさい)」の噺が始まったのは流石です。
 続いて、神田伯山の講談「安兵衛婿入り」でした。当代一番人気の講談師だけあって、そのテンポの良さとその速さ、話の迫力で、聴くものを圧倒しました。仲入りの後、裏でお囃子を奏でるスクイーズ☆ハジキーズの「長唄三味線」でしたが、松永鉄駒さんは小田原の出身で西湘高校卒だと自己紹介し、盛んに拍手を浴びていました。最後の演目は三三師匠の「二番煎じ」で、噺だけではなく、酒を飲み、シシ鍋の肉やネギを食べる仕草には、まるでその場にいるかのような錯覚を覚えました。
 落語と講談を満喫した柳家三三師匠の新春公演でした。これからも大ホールや小ホールで本格寄席囲いを使った小田原落語会が盛んに開催されることを楽しみにしたいと思います。
 
(深野彰 記)

2022/02/16 14:42 | 伝統芸能

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