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2016年05月06日(金)

小田原の街でこんな美術展 〜火曜パステル会作品展〜

パステルカラーという言葉はよく聞く。淡い中間色の独特の風合いをもつ女性のファッションにも好まれる色だ。パステルは粉末状の顔料を粘着剤で固めた画材で、色や明るさによって100色近くもある。混色しないで微妙に違う色を選んで使う。用紙も表面に凹凸がある丈夫なものが適しているという。指や擦筆などを使ってぼかしたり混色したりして独特の世界を創る。筆もパレットもいらず後始末もしなくてよいという反面、定着力が弱いので定着剤(フィクサチーフ)を吹き付けておくという手間がいる。
■ソフトなタッチに硬質の輝きを与える

栄町のアオキ画廊で開かれていた「火曜パステル会作品展」を、連休の狭間の5月2日に訪ねた。小田原のパステルを専らとする絵画愛好グループは、この「火曜パステル会」が唯一のようだ。会員12人が計38点のパステル画を作品展に出品している。「バラ繚乱」は、本多廣光さんの作品。画面にあふれる赤、黄、青、白のバラ。緑の葉から湧き上がるように描かれている。古屋隆士さんの「水差しとドラゴンフルーツ」は、果物のみずみずしさと陶器の水差しの質感を対比的に表現している。真っ赤なドラゴンフルーツと熟れたラフランスの柔らかい香りと、水差しと果物の盛られた皿の陶器の固い感触が同時に伝わってくる。松風緑子さんの「卓上のグラス」は、モチーフの透明感を描こうとしたという。ガラスを通してみた背景のゆがみや色の肉眼との違いを描き出すことによってグラスの存在を訴える。パステル独特の鋭いグラスの輝きが、暗い背景に浮き出している。

パステルのつくる憩いの世界

部屋になかには、テーブルの上の瓶に差した花、籠に盛られた果物、コーヒーミルと淹れたてのコーヒー。光あふれる窓の外はどこかイタリアの街。勝又久美さんの作品「窓辺に憩う」だ。午後のひと時だろうか、憩いの時を過ごしている作者がふと見やった窓の外の瞬間を印象的に描いている。火曜パステル会は、毎週第1と第3の火曜日に生涯学習センター「けやき」の美術工芸室に集まって創作活動をしている。もう20年にもなるそうだ。(ゆきぐま記)

火曜パステル会作品展
日 時 2016年4月28日(木)-5月2日(月) 終了
会 場 アオキ画廊 小田原市栄町2-13-20
連絡先  古屋隆士 電話 0465-24-3497 

2016/05/06 11:17 | 美術

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