皮膚科

診療科の特徴

 当科は、昨年度までは常勤医師3人で診療を行ってきましたが、今年度から常勤医師2人に減ってしまいました。このため、待ち時間も長くなることが予想されます。軽症の患者さんは、まず近隣の皮膚科の開業医を受診することをおすすめします。また、当科を受診しても症状によっては当科での診療は難しく、大学病院などに紹介をおすすめすることもあります。更に、当科で治療して軽快したら、皮膚科の開業医に逆紹介させていただきます。
 最近は、高齢化社会の影響で難治性の全身の湿疹、褥瘡、皮膚がんなどで受診される高齢の患者さんが増えております。若い方やお子さんの場合は、手のひらや足の裏のほくろを気にして来院されるケースも多いです。アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬などは、代表的な皮膚の病気でなかなか良くならない方も多かったのですが、良く効く注射薬や内服薬が使えるようになりました。高価であり、対症療法のため、薬を中止すれば再発するという欠点はありますが、今までにない効果が期待できます。もちろん、暴飲暴食や肥満、ストレスなどの悪化因子の除去も大切です。外用剤もステロイド軟膏とは違った作用機序の薬が開発されています。帯状疱疹は、時に重症化して神経痛が何年も後遺症として残ることがあるため、注意が必要です。当科受診される際は、近所のかかりつけ医等で紹介状を作成してもらって受診することをおすすめします。他の病院での処方歴がわかるようお薬手帳もあれば持参してください。

認定施設

日本皮膚科学会認定専門医研修施設

主な対象疾患

小型の皮膚悪性腫瘍

有棘細胞癌、ボーエン病、日光角化症、ケラトアカントーマ、基底細胞癌、悪性黒色腫、乳房外パジェット病、メルケル細胞癌、血管肉腫、カポジ肉腫、皮膚附属器癌

小型の皮膚良性腫瘍

粉瘤、脂肪腫、皮膚付属器腫瘍、色素性母斑、脂漏性角化症、線維腫、石灰化上皮腫

自己免疫水疱症

水疱性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、線状IgA水疱性皮膚症

各種皮膚感染症

帯状疱疹、蜂巣炎、カポジ水痘様発疹症、壊死性筋膜炎

その他

アトピー性皮膚炎、乾癬、尋常性乾癬、掌蹠膿疱症、蕁麻疹、薬疹、中毒疹、円形脱毛症

スタッフ紹介

役職名
氏名
資格等 専門領域
主任部長
水野 尚
日本皮膚科学会皮膚科専門医、 日本がん治療認定医機構がん治療認定医、臨床研修指導医 皮膚科全般
医師
山村 一美
  皮膚科全般

診療実績(入院患者)


    2019 2020 2021 2022 2023
皮膚悪性腫瘍 有棘細胞癌 7 6 3 7 10
  ボーエン病 1 3 0 2 1
  日光角化症 2 4 2 1 0
  基底細胞癌 5 7 11 8 6
  悪性黒色腫 4 4 0 0 1
  乳房外パジェット病 2 2 0 0 1
  皮膚付属器癌 1 0 1 0 0
  降起性皮膚線維肉腫 0 1 0 0 0
  メルケル細胞癌 1 0 0 0 0
  悪性リンパ腫 3 0 0 0 0
  その他 1 1 3 1 1
皮膚悪性腫瘍合計   27 28 20 19 20
皮膚良性腫瘍 脂肪腫 9 0 3 5 5
  粉瘤 1 2 7 2 1
  その他 6 5 8 6 1
皮膚良性腫瘍合計   16 7 18 13 7
感染症 帯状疱疹 36 27 35 16 10
  水痘 2 0 0 1 0
  カポジ水痘様発疹症 0 3 1 0 0
  ツツガムシ病 1 0 0 0 0
  蜂巣炎 25 20 24 12 7
  丹毒 8 1 1 2 0
  壊死性筋膜炎 3 2 4 0 0
  皮下膿瘍 3 0 1 1 0
  その他 0 0 0 1 0
感染症合計   78 53 66 33 17
自己免疫性水疱症 水疱性類天疱瘡 3 2 4 3 0
  尋常性天疱瘡 1 1 0 1 0
  落葉状天疱瘡 2 5 1 0 0
自己免疫性水疱症合計   6 8 5 4 0
薬疹   1 0 3 2 0
重症薬疹 スティーブンス・ジョンソン症候群 2 1 0 0 0
  中毒性表皮壊死症 0 0 0 0 0
  薬剤性過敏症症候群 0 0 0 0 0
  急性汎発性発疹性膿疱症 1 2 0 0 0
重症薬疹合計   3 3 0 0 0
中毒疹   7 2 3 0 1
多形紅斑   2 1 3 1 0
糖尿病性壊疽   2 3 4 4 1
褥瘡   0 2 2 0 0
下腿潰瘍   8 2 2 0 0
化膿性汗腺炎   2 2 0 0 0
その他   6 8 17 12 6
全疾患合計   158 119 143 88 52

診療実績(外来患者)

  2019 2020 2021 2022 2023
1日平均外来患者数 49.5 40.9 46.9 41.0 38.1
年間総外来患者数 11,875 9,932 11,160 9,967 9,261

診療内容

皮膚悪性腫瘍

 小型の有棘細胞癌、基底細胞癌などの切除を行っています。昨年度は、47例の皮膚悪性腫瘍を切除しました。

アトピー性皮膚炎

 最近はデュピルマブ(注射薬)やヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤の内服薬が開発され、当院でもこれまでに33人の成人患者さんにデュピルマブを処方しています。JAK阻害剤の内服薬は副作用がやや強く注意が必要です。またJAK阻害薬やPDE4阻害薬の外用剤も開発され、当院でも処方可能なため、ステロイド外用剤の副作用が心配な方はぜひご来院ください。

乾癬

 ステロイド、ビタミンD3等の外用療法、光線療法でも改善しない場合、セクキヌマブなどの生物学的製剤の治療を行っており、当院ではこれまでに、14人の患者さんに処方しています。アプレミラスト(内服薬)も最新使用可能となり、生物学的製剤ほど効果は強くないですが、副作用も少なく、たくさんの患者さんに使っていただいております。

掌蹠膿疱症

 内服と外用、紫外線療法で改善する場合も多いですが、難治例では金属アレルギーの検査、扁桃炎などの病巣感染の治療で改善することもあります。喫煙は、大きな悪化因子のため禁煙をおすすめしますが、禁煙できない人も多いです。最近、生物学的製剤の使用も認可され、当院ではこれまでに、1人の患者さんに使用歴があります。

蕁麻疹

 通常は抗アレルギー剤による治療で治癒しますが、難治な場合には、悪化要因として各種鎮痛剤の使用、扁桃腺などの慢性感染症、ストレスなどの関与がないか検索します。最近はオマリズマブという生物学的製剤が使用可能となり、当院ではこれまでに、7人の患者さんに使用歴があります。

自己免疫水疱症

 まず、ステロイド全身投与を行います。ステロイド治療に抵抗性の難治な方は、大学病院への紹介をおすすめします。

帯状発疹

 抗ウイルス薬の内服を中心に治療を行いますが、重症例には入院して点滴治療をします。帯状疱疹後神経痛には鎮痛薬の処方を行っていますが、難治な場合は他院麻酔科での加療をおすすめしています。昨年度は10人の患者さんが入院しました。

薬疹

 中毒性表皮壊死症(TEN)、スティーブンス・ジョンソン症候群、薬剤性過敏症症候群など重症薬疹は、大学病院に紹介します。軽症~中等症は当科で治療します。

小田原市立病院

〒250-8558 神奈川県小田原市久野46番地 電話:0465‐34‐3175ファックス:0465‐34‐3179

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