(写真3)「月下龍松」に隠れた龍 右側の「月下龍松」は日本画らしい老松ですが、実は松の中に龍が隠れているのです(写真3)。太い幹を辿っていくと、枝先に龍の二つの眼が見えてきます。その左下には鼻の穴が黒く二つ並んでいます。松葉の一本一本が龍の髭になっています。最初は、画題の「月下龍松」は龍のような松の意味で描かれたとだけ思っていましたが、本当に龍が身を潜めている老松だったのです。ご覧になっている方に「さて、龍は何匹いるでしょうか?」とお尋ねすると、「あッ!ここにもいる!」と龍探しに熱中されます。近藤弘明が「隠し絵」を描いていたことに気付くと、宗教家として硬く生真面目なイメージだけではない、ユーモアのある画家の側面も感じることができます。