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2022年08月31日(水)

『ぐるり富士山』

 昨年9月に第一回が開催され、ユニークな企画で好評を博したグループ展「ぐるり富士山」のvol.2を初日に鑑賞してきた。

ギャラリーNEW新九郎で
 会場のギャラリーNEW新九郎は、有望な若手作家、高い評価を得て活躍する中堅ベテランの作家や海外の作家も紹介する、小田原で最も勢いのあるギャラリーだと思う。

この場所にあるからこそ
 大型商業施設の中にあって、気軽に行くことができる、このギャラリーには、銀座通りの書店の上階にあった旧ギャラリー新九郎とは別の趣と魅力がある。広域から車でやってくる人々、小田原を超えて、県央、湘南から、静岡県東部、伊豆の人たちまでに向けた発信力がある。 今回の作品展が成立したのは、この直前に展覧会を開催していたドイツの作家セラフィナ・レンツの小田原滞在制作時のコーディネーターの仲介によるという。ギャラリーNEW新九郎という場が、このような人を繋ぐ縁をつなぐネットワークとして膨らみ、その新たな出会いが作家たちの創作活動とそれを支える人々の大きな輪を作っている。
富士山を「ぐるり」と
 24日から始まった「ぐるり富士山 vol.2」は、小田原にアトリエを構えて作家活動を続ける横井山泰を中心としたネットワークによるグループ展である。富士山と題したそこには、富士から広がる土地に生まれ、富士を眺めるその土地に暮らしながら、今、創り続けている作家たちのネットワークとの意味があるのだろう。ぐるりと富士を囲む、作家たちの活動の場は、御殿場、裾野、三島、湯河原、小田原、葉山、東京など。なるほど、ぐるり一周とはいかないが、小田原から両手を広げて富士を抱くの趣もある。ここで輪となる縁も更に生まれることだろう。
その創り手と支える人の輪の中へ
 昨年会場で目にした作品から、その作家の活動に注目し、展示を申し出た担当者もあったと聴く。ここでの出会いが、作家の創作活動を大きく縁で繋いでいくという一例だろう。
 ぜひ来て、見ていただきたい。あなたのための一枚、一点、そう思える作品にきっと出会うことができる。ここに載せた小さな写真に何かを感じた人には、もうすでにその創り手との縁もあるのだ。
  眺めるだけでなく、買って我がものとできる作品もある。このギャラリーへ行けば、あなたも「ぐるり」と富士の輪の中の人になれるのだ。
 今回の出品者は、以下の作家たち。

いいあい
石川美奈子
植松知祐
たじまひろえ
ちばえん
鈴木健司
吉野涼子
吉本繁
渡邉有葵
福井山
福井揚
横井山泰

SNSを覗いてみれば、彼らの活動と作品を知ることができる。
都内で、他のどこかの町で、画廊で、美術館で、また彼らの作品に会えるだろう。

備堂能満(びんどうよしみつ)

ぐるり富士山vol.2
8月24日(水)〜9月5日(月)10:00〜18:00 最終日は、16:00まで
ギャラリーNEW新九郎
小田原市中里208 ダイナシティウエスト4F
※ 2022年8月22日までギャラリーNEW新九郎で行われていたのは、すどう美術館のアーティスト・イン・レジデンスに参加し、来日と小田原滞在を重ねたドイツ人アーティストセラフィナ・レンツと、そのパートナーであるミヒャエル・バウゼ、二人の作品展だった。動きのある毛筆の運びや古書に寄る紙魚が作る模様を思わせるセラフィナの版画と伝統的な着物にも見える色をモダンなタッチで組み上げるミヒャエルのコラージュが、日常から浮揚するが如き清逸な空間を生み出していた。

2022/08/31 11:25 | 美術

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